戦前の家のリノベーション
港町の家は戦前の家です。このあたり一体は戦火にあい大きな蔵を除いて殆どの民家が消失しました。
ご縁あってこの建物のリノベーションを行いました。
戦火にあったすぐ後の市街地を天筒山から撮った写真が、海陸運輸さんにあります。
一度見せて頂いたのですが、なんと!気比神宮の大鳥居と石で出来た天満神社の鳥居、そして焼け出された蔵か幾つかあるだけ。
後は全て平地になっておりました。
こうして残っている建物はとても珍しく、時代を感じさせます。
この戦前の家はまず屋根を吹き替えることから始まりました。
2階は雨漏りがひどかったのです。
次に室内の床をめくると、その下の土間はとてもきれいで驚きました!
長い年月が経つ中、ふつふつと人が生活してきた空間が広がります。
小さな庭に面する梁は崩れており、新たに材を入れ庇も直しました。
小さな庭には井戸があり、かつてこのお家は漁師さんが住んでいたそうです。
井戸の水で魚を洗い、干しものなどを調理したのかもしれませんね。
プランはかつて「おくどさん」があった奥の台所を今の様式に直し、小さな庭が見えるよう窓を作りました。
また1階の居室は広々とした空間を作ろうと、2室を一体化して床を張りました。また壁は昔ながらの漆喰壁なので、これも新たに塗り直しました。
窓という窓は木で作られていたのですが、新たに玄関引き戸も含めてサッシへ変更しました。
2階へは昔ながらの木の階段で上がります。2階の居室は、続きの2室と個室の一室で合計3室があります。
細長い室内プランですが、家族で住むには十分な広さと機能の家になりました。